賃料値上げ請求や減額請求をする場合に不動産鑑定評価書が役立ちます

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賃料の評価について

継続賃料の評価は、最終更新時に締結された現行賃料を基礎にしています

賃料の評価で鑑定評価を依頼される場面は、概ね (1)継続家賃(2)継続地代 が多くなっています。いずれも、賃貸借契約が締結されていて、何度かの更新を経て、現行賃料が周辺の継続賃料水準と比較して従前の賃料が割安、割高となっている場合などに、所有者と賃借人が値上げ請求や値下げ請求をする場合に不動産鑑定評価書が用いられるケースです。

新規に賃貸借契約を締結する場合の (1)新規賃料の不動産鑑定評価 (2)新規地代の不動産鑑定評価 の依頼は殆どありません。とりわけ、新規地代の評価は平成4年に借地借家法が制定されてからは、依頼されることは無くなりました。

さて、この継続家賃、継続地代の評価については、誤解されているケースがありますので事前に理解をお願いしたい点があります。それは、これらの継続賃料(継続家賃、継続地代)の評価は、最終更新時に締結された現行賃料を基礎にしているという点です。現行の賃料は、賃貸借契約によって、所有者と賃借人は合意更新した賃料です。お互い、その賃料を納得しているのです。

例をあげてご説明します。

仮に12年前に100坪のテナントビルの一室を月額¥1,400,000(¥14,000/坪)で新規に賃貸借契約を締結した。それから3年毎の更新を3回行い、賃料は改定の度に、少しずつ値上がりをしてゆき、3年前に改定した賃料は月額賃料¥1,500,000(¥15,000/坪)で更新した。今回、4回目の更新時期に際して、賃料が高いのではないかとの疑問を生じた。
会社の経営状況も思わしくないため、リストラの一環として、仲介業者を通じて賃料の値下げを所有者に伝えたが、固定資産税が上昇していることを理由に「現況維持でお願いします」との回答を得た。
知り合いの不動産業者に近辺の賃料相場を尋ねたところ、概ね¥10,000/坪~¥12,000位が妥当なところではないかと言う。
仮に¥12,000/坪が相場ということならば、坪あたり¥3,000、月額賃料にすると¥3,000/坪×100坪で¥300,000円。年額¥3,600,000も損をしている計算だ。仮に¥10,000だと年間¥6,000,000ということになる。
新しいビルに移転しようかとも思った。けれど、移転に係る費用も大きく、なによりも12年間、営業の拠点として利用してきたため、新たに拠点を開設するための営業的損失も大きいではないか。
知人に紹介された不動産鑑定事務所を訪ねた。年額¥6,000,000も家賃が下るなら、例え裁判費用や不動産鑑定費用を払っても短期的にも利益になるのではないかと考えた。
不動産鑑定士に言われたことは、不動産鑑定評価にあたっては、3年前に合意した月額賃料¥1,500,000(¥15,000)が基礎的な賃料となる。合意した賃料を基礎として、
(1)差額配分法
(現行の合意賃料と、新規に借りた場合の適正賃料との差額について、その一部を現行賃料に加減して求める方法)
(2)スライド法
(現行の合意賃料に期間変動に伴う消費者物価指数等の経済指数を乗じて求める方法)
(3)利回り法
(土地・建物の元本価格に継続賃料利回りを乗じた額に必要諸経費を加算して求める方法)
(4)賃貸事例比較法
(何回か更新を重ねた同じ様な規模、業種の現行の賃料から比較する方法)
という4つの方法を適用して求めるけれども、いきなり新規の賃料水準の¥12,000/坪にはならないとの回答を得た。
けれど、鑑定評価をお願いし、鑑定評価書を基にオーナーと話を進め、結局、¥14,000/坪で合意に至った。
坪あたり¥1,000、年間¥1,200,000の費用を安くできたことには、それなりに効果があったとは思うが、会社が利益を上げていた頃、賃貸借契約の更新時にもっと慎重であるべきだったと後悔が先にたつのである。

【ご依頼にあたって、ご用意して頂く資料は下記のとおりです】
 1.専有部分の平面図(パンフレット可)
 2.賃貸している場合には賃貸借契約書(原契約、各更新時の契約書)
 3.登記簿謄本(お手元にありましたら)
 4.固定資産税、都市計画税額(取得できましたら)